QUOTE
車は今、時速八十キロで、少しずつ明るさを増していく光に向かってひた走っている。なぜこんなに飛ばさなければならないのか、なぜこんな夜ふけに他人のことにまったく無関心な、見知らぬ車に取り囲まれて走らなければならないか、その理由は誰にも分らなかったが、人々は前方を、ひたすら前方を見つめて走り続けた。
――『南部高速道路』 フリオ・コルタサル
友よ
ぼくの背後で
野原がひとつ消えた
青空もろとも
おそろしい速さで
――『もしも 明日があるなら』 鮎川信夫
でも、おれたちは二人とも、愛のために何もしなかった。だから、いけなかったんです。
――『漁船の絵』 アラン・シリトー
母さん。母さんは昔、記憶は選択だと言った。でも、もし母さんが神様だったら、記憶は洪水だと知っているだろう。
――『地上で僕らはつかの間きらめく』 オーシャン・ヴオン